あらいくまたんです。
地元で、映画オレンジランプの上映会がありました。
上映前には、県内でオレンジ大使として活動している若年性アルツハイマー型認知症を発症したご本人と、その奥様による講演もありました。
ピヨ子は部活があったので、私とオットセイと鉄くんの3人で行ってきました。
オレンジランプ
認知症についての映画、ということしか知らずに行きました。
こちらの原作本を映画化したもので、実話でした。
39歳で認知症と診断されながら、10年後の現在も会社勤務を続けつつ、認知症本人のための相談窓口の活動や自身の経験を語る講演などを行っている丹野智文さん。本作は、認知症とともに笑顔で生きる丹野智文さんの実話に基づく物語。
認知症と診断され、不安に翻弄される主人公夫婦・晃一と真央の気持ちを前向きに変えたのは、元気に人生を歩む“認知症の先輩たち”との出会いだった・・・。
私達は、晃一や真央とともに、「認知症になったら終わり」という偏見を捨て、「認知症になっても人生を諦めなくていい」ことを実感し、そのための手立てを見出していく。認知症であることをオープンにする意義や、仕事や日常生活を続けるための工夫。「自分で出来ることは自分でしたい。困った時だけ助けてほしい」といった気持ちを伝える勇気。そして、気持ちを伝え合うことによって家族や職場と見出していく、より良い大らかな環境。また、誰にとっても大切なのは、辛い時には周りを頼っていいのだということ・・・。
認知症本人や家族が、認知症とどのように向き合えば笑顔で生きられるのか。認知症になっても安心して暮らせる社会とは? その一つの指標となり得る本作は、年齢を重ねていく全ての人がより良く生きるためのヒントにも満ちている。
公式サイトより引用
オレンジ大使とは
認知症の人ができる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる地域共生社会を実現するため、
認知症の人本人からの発信の機会が増えるよう「認知症本人大使」を国が創設しました。
国は令和2年1月に5人の認知症本人大使を任命しました。
大綱には、都道府県ごとに設置することが目標として掲げられています。
認知症施策推進大綱(概要)(令和元年6月18日認知症施策推進関係閣僚会議決定)
【基本的考え方】
認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し認知症の人や家族の視点を重視しながら「共生」と「予防」※を車の両輪として施策を推進
① 普及啓発・本人発信支援
② 予防
※1 「共生」とは、認知症の人が、尊厳と希望を持って認知症とともに生きる、また、認知症があってもなくても同じ社会でともに生きるという意味
※2 「予防」とは、「認知症にならない」という意味ではなく、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味
厚生労働省のページより引用
オレンジ大使の方のお話
映画の上映前に、当県のオレンジ大使(認知症本人)とその奥様のお話がありました。
家庭を顧みない仕事バリバリ人間だった方が、若年性アルツハイマー型認知症を発症。
独断で仕事をやめてしまい、奥様は大変な思いで認知症の勉強をしたそうです。
音楽や美術など、良いとされることを提案するものの、全て拒否。
唯一マラソンなど体を動かすことには同意してくれ、様々なスポーツに挑戦。
またスポーツを通じていろんな場所で人と積極的にコミュニケーションをとるようになっていったのです。
人との関わることで認知症の進行もおそらく遅らせることができ、周囲の接し方もよい方に変わっていったそうです。
とても明るく、仲睦まじい様子に、衝撃をうけました。
認知症を発症しても、
100できたことが0になるわけじゃない。
100が80になっても、80はできるんです。
できることを奪わないでください。
80できることは、積極的にやらせてください。
うまくいかなくなった20のことを、手助けしてあげてください。
この方も数年前から、見当識障害が進行し、自宅を自宅として認識できなくなったそう。
どこにいても、自宅にいても「帰りたい」から、発作的に自宅を飛び出してしまうように。
数年間は玄関に靴を置かないことが、抑止力になっていたそう。
でもある日、靴も履かずに家を出てしまいました。
すぐに警察に連絡し、捜索するも、見つかったのはほぼ24時間後。
足の皮はむけてズタボロ。脱水もひどかった。
見つけてくれたのは交番のおまわりさん。
でも、その間に何人の人とすれ違ったのだろう、と奥様は呼びかけました。
道を歩く人に少しでも、
何かおかしい、と感じることがあったなら
自分には関係ないと思わずに
声をかけてほしい。
直接声をかけることがためらわれるなら、
警察に連絡するなどして、行動を起こしてほしい。
そうすれば、こんなに長時間歩き回ることもなく、見つかったはず。
皆さん、認知症について、もっと知ってください。
認知症でも、そうでなくとも、相手を思いやれる、その心が広まれば全ての人が住みやすい社会にかわっていくはずです。
認知症の人が住みやすい社会は、全ての人が住みやすい社会
映画も、講演も、どちらもこのことを実感できるものでした。
認知症の人が住みやすい社会は、全ての人が住みやすい社会
これって、似た考え方を前に学んだなあと思い出しました。
発達障害の子にわかりやすい授業は、全ての子にわかりやすい授業
特定の人のために特別なことをする必要はない。
シンプルに、わかりやすく、誰にでも、優しい社会をめざしたいな、と改めて思えました。
鉄くんにはどう響いたのかな?
映画苦手を最近完全克服した鉄くん。
今回は、何の抵抗もなく、素直に映画を見に行けました。
そして、途中で悲しいこと、感動したことがあると、そっと私の手をとり、ギューっとしながら、涙を流しながら、自然に感情を外に出して受け入れていました。
終わってから、特に言葉にして感想を聞いてはいませんが、ピヨ子にも見せたかったな、と思い、その足で図書館に行き、原作本を借りて来ました。
家に帰ると、早速鉄くんが読み始めました。
何か響くものがあったみたい。
このタイミングで一緒に見に行けて、良かったなと思いました。
皆さんも、機会があったら、映画、本、どちらでもよいので、手にとってみてください。